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越前市の古民家・町家を再生する|活用事例と耐震・断熱の進め方

文・設計部 監修・川端 武志
越前市の古民家・町家を再生する|活用事例と耐震・断熱の進め方

この記事のポイント

  • 越前市の古民家は住宅だけでなくカフェや宿泊施設など多用途に再生できる
  • 耐震改修には越前市独自の補助制度や税制優遇が用意されている
  • 断熱改修は壁・窓を中心に部分的な強化から進める方法が現実的
  • 空き家バンクや補助制度を組み合わせれば費用負担を抑えやすい
  • 古民家の定義や耐震基準は制度により異なるため事前確認が欠かせない

越前市の古民家・町家は、耐震・断熱の改修と補助制度を押さえれば住まいや店舗として再生できます。この記事では活用事例から費用感、耐震断熱の進め方、補助制度、物件探しの流れまでまとめて分かります。

越前市の古民家とは、福井県越前市に残る、昔ながらの工法や意匠を取り入れて建てられた住宅のことです。地域の暮らしや歴史を感じられる建物であり、住居や改修後の活用先として注目を集めています。


越前市の古民家・町家は今、店舗や住まいとして再生できる

築100年を超える町家でも、使い道に合わせた改修プランを描けば、暮らしにも商いにも再生できます。

古民家再生で費用を抑えつつ暮らしや店舗に活かせる理由

古民家は「古いから手がかかる」と思われがちです。ですが実際には、改修の方向性次第で費用を抑えやすい面があります。越前市矢放町にある築約150年の町家の例を見てみましょう。同じ建物に対し、カフェ・レストラン、共同オーナー型のセカンドハウス、ライブハウス、地域密着型の通所介護施設・子供食堂という4通りの改修提案がまとめられ、用途ごとの概算費用まで添えられています。同じ建物からこれほど幅のある使い道が描けるとは、意外に思われるかもしれません。使い方を変えれば工事範囲も費用も変わります。だからこそ「何に使いたいか」を先に決めておくことが、費用を抑える近道になります。

越前市で再生対象になりやすい物件の特徴

越前市内の空き家・古民家には、古い木造瓦葺きの建物や、敷地内に土蔵・車庫などの付属建物を備えた物件もあります。物件ごとに建築年や接道状況などの条件は異なるため、購入前には再建築の可否を含む建築条件を不動産会社や建築住宅課へ確認してください。

越前市で再生・活用されている古民家・町家の事例

用途を変えるほど可能性が広がるのが、越前市の古民家・町家の面白さです。

住まいとして再生した町家の事例

越前市おうちナビには、店舗部分と居住スペースが分かれた店舗付き住宅や、交流施設への転用を想定した中古一戸建てが掲載されています。住まいと商いを一つの建物でまかなう活用方法も選択肢の一つです。

店舗・宿泊施設として活用された古民家の事例

越前市勾当原町の農家民宿「AOIIE」は、19世紀築の古民家を活かし、山菜採りや田畑作業、馬借街道ウォークといった体験を組み合わせた宿です。矢放町の町家に付いた改修提案書を見ると、カフェ・レストラン案が概算5,334万円なのに対し、ライブハウス案は概算8,800万円。同じ建物でも、目指す姿次第で費用は大きく変わります。店舗や宿泊施設への転用は、市内で実際に動いている選択肢です。

地域の歴史的町並みに残る古民家の活用例

越前市には本町・元町・若松町・平和町からなる「四町」地区と、大滝町・岩本町などの「五箇」地区という伝統的民家群保存活用推進地区があり、昔ながらの町並みが残ります。こうした地区の民家は福井県の伝統的民家認定制度の対象になり得るもので、市内では平成18年から平成31年2月末までに206件の認定実績があります。町並みの保存と個々の建物の再生が両立しているのは、この地域ならではの強みです。

耐震性はどこまで必要?古民家の耐震改修の進め方

古民家の耐震改修は「全面建て替え」ではなく、診断結果に応じた部分補強で進められるのが基本です。

耐震診断で分かること・越前市の古い木造住宅の特徴

越前市内の古民家には、昭和56年5月31日以前の旧耐震基準で建てられた木造住宅が少なくありません。診断では建物本体に加え、地盤や基礎の安全性も確認されます。矢放町の町家のように、古民家再生総合調査報告書と耐震改修計画書がセットで用意されている物件なら、補強プランと概算費用を事前に把握できます。

耐震改修の工法と費用の目安

耐震改修は、壁の補強や筋交いの追加、基礎の補修を組み合わせて評点を引き上げるのが一般的です。越前市では、伝統的構法や「ふくいの伝統的民家」の認定を受けた木造住宅を対象に、耐震改修工事費の10分の8(上限190万円)を補助する制度があります。改修後は一般診断法で評点1.0以上、難しい場合でも0.7以上を満たす必要があります。

耐震改修を先送りするリスク

耐震改修を後回しにすると、建物の傷みはそのぶん進みます。再建築不可の土地に建つ古民家では、建て替え自体が選べなくなる点も見逃せない事実です。越前市の耐震改修促進事業補助金には令和9年2月15日という完了期限があり、予算到達で早期に締め切られる場合もあります。再生を考え始めたら、早めに耐震診断の相談へ動くことが、選べる選択肢を狭めない一番の近道です。

寒さを解消する断熱改修のポイント

古民家の寒さは構造上の特徴によるもので、部分的な断熱強化でも体感はかなり変わります。

古民家が寒くなりやすい構造的な理由

古民家の多くは太い柱と梁による軸組構造で、壁や床下に隙間が生まれやすく、気密性では現代の住宅に及びません。木製建具をそのまま使う建物も多く、意匠の味わいは残る一方、窓まわりの断熱性能は不利になりがちです。構造上の弱点を知っておくと、どこから手を入れるべきかが見えやすくなります。

床・壁・窓の断熱改修と費用の目安

断熱改修は建物全体を作り変える必要はありません。柱や梁はそのまま残し、妻壁に窓を新設しながら壁に断熱材を入れるといった部分的な工事だけでも、寒さの体感は変わります。床下や壁への断熱材充填、サッシ交換などを組み合わせるのが基本です。工事範囲によって費用は大きく変わるため、業者との相談段階で複数の工法を比較しておくと判断しやすくなります。

断熱と耐震をあわせて行う際の注意点

断熱改修で壁を開ける工事は、耐震補強の筋交いを入れる工事と重なる部分が多いものです。同時に計画すれば、足場や解体の手間を一度で済ませられます。断熱だけを先に終えると、後から耐震補強で同じ壁を開け直すことにもなりかねません。耐震と断熱は切り離さず、連携の取れた業者にまとめて相談するのが無駄のない進め方です。

再生前に知っておきたい注意点と活用できる補助制度

補助制度をうまく使えば費用の負担は軽くなりますが、現状渡しが前提の古民家特有の注意点も押さえておく必要があります。

古民家再生で起こりやすいトラブルや想定外の費用

古民家の売買では「現状でのお渡し」とされる物件があり、矢放町の物件でもその旨が明記されています。購入後に床下や屋根などの傷みが見つかる可能性もあるため、契約前に建物の状態を確認することが重要です。同じ建物でも用途次第で、改修費の概算が3,000万円台から8,000万円台まで開く例があります。契約前に複数パターンの見積もりを取り、用途ごとの概算費用を比べて判断してください。

越前市・福井県の空き家バンクや補助制度の活用方法

物件探しでは、越前市の「越前市住まい情報バンク(おうちナビ)」と、福井県が運営する「ふくい空き家情報バンク」の両方を確認するのが基本です。住宅を新築・取得する場合は市全域で最大170万円、おうちナビ登録の中古住宅取得なら最大190万円の補助があります。中古住宅のリフォームには購入者で最大140万円、大家で最大120万円の補助制度も用意されています(令和8年度の内容)。伝統的民家群保存活用推進地区の伝統的民家なら、新築等や外観改修、土蔵・門・塀の改修に工事費の2分の1以内、上限100万円前後の補助も別途受けられます。耐震改修には190万円を上限とする補助があり、改修後は一定要件のもとで所得税の特別控除(上限25万円)や固定資産税の減額措置も利用できます。対象地区や要件は制度ごとに異なるため、建築住宅課や都市計画課へ早めに相談し、該当する制度を一つずつ確認してください。

古民家再生協会が定める「古民家」の基準

「古民家」に明確な決まりはありませんが、目安となる定義はいくつかあります。全国古民家再生協会は、一般的な「築50年以上」という捉え方とは別に、昭和25年の建築基準法制定より前に建てられた伝統構法の住宅を「古民家」と位置づけます。福井県内の空き家バンクでは、1950年以前の建築、または終戦前の意匠を基調として「福井の伝統的民家」に認定された建物を古民家に分類しています。越前市で古民家を探すなら、この二つの基準を手がかりに、建築年と構法の両面から物件を見比べるとよいでしょう。

越前市で古民家・町家探しから再生相談までの流れ

物件探しと耐震・断熱の相談は並行して進めるほうが、再生後の暮らし方まで見通しやすくなります。

物件探しから契約までの基本的な手順

越前市で物件を探す際は、まず「おうちナビ」で希望条件に近い物件を確認し、物件詳細ページに記載された仲介業者へ直接問い合わせるのが基本の流れです。市は情報提供や連絡調整を担いますが、売買・賃貸の交渉や契約そのものには関与しません。希望する地区や広さ、価格帯を事前にアンケートで登録しておくと、条件に合う空き家情報が出てきたときに連絡をもらえる仕組みも用意されています。契約前には、現状渡しが前提かどうか、再建築不可の土地でないかを必ず確認しておきましょう。

耐震・断熱の相談先と専門家の選び方

耐震診断や改修計画の相談は、実績のある建築士事務所や工務店のほか、古民家再生の専門窓口である古民家再生協会福井第一支部でも受け付けています。補助制度の詳細や申請の進め方については、越前市建築住宅課(電話0778-22-3074)や都市計画課(電話0778-22-3012)が窓口となります。耐震と断熱の両方に対応できる業者を選べば、工事の重複を避けられるうえ、建物全体の状態を一つの目線で診断してもらえます。再生を考え始めたら、物件探しと並行して早めに専門家へ声をかけておくと、計画全体がスムーズに進みやすくなります。

越前市姫川2丁目

姫川2丁目では中古住宅の流通例があり、物件ごとの付属建物や状態を確認しながら再生方法を検討することが重要です。

姫川2丁目では中古住宅の掲載例があります。蔵などの付属建物がある物件を検討する場合は、母屋とは分けて状態や用途を確認し、必要に応じて断熱・耐震改修の可否を検討してください。

ただし蔵は母屋以上に壁が厚く開口部が少ない構造のため、光や風の通りを確保する工夫が欠かせません。窓や換気口を新設する場合は、土壁や漆喰の意匠を壊さない位置取りが求められますし、耐震面でも母屋とは別に診断を受けておくと安心です。古民家再生総合調査報告書のような事前調査書があれば、蔵の状態や補強の方向性を工事前に把握しやすくなります。

住まいとしてだけでなく、店舗や宿泊の一部機能を蔵に持たせる再生事例も各地で見られます。母屋をリビングや寝室、蔵をワークスペースや来客用の部屋に分けるといった具合に、生活動線を分けて設計すれば、改修後の使い勝手も安定しやすいでしょう。蔵付き物件を検討する際は、母屋と蔵それぞれの改修見積もりを分けて確認しておくことをおすすめします。

越前市高瀬1丁目

高瀬1丁目は武生駅周辺の中心市街地に近く、中古住宅の流通例があるエリアです。

越前市高瀬1丁目は、武生駅周辺の中心市街地に近い住宅地です。中古住宅の掲載例もあるため、物件ごとに建物の状態や接道状況、駐車スペースなどを確認して検討するとよいでしょう。

この地区で物件を探す際は、建物の古さだけでなく接道状況や駐車スペースの有無も確認しておきたいところです。車を2台以上置きたい、店舗として来客を迎えたいといった希望がある場合は、現地での寸法確認や、既存の駐車場・付属建物の有無を事前にチェックしておくと安心です。

耐震改修や断熱改修を行う場合は、物件ごとに工事車両の搬入経路や足場・資材置き場を確保できるか確認が必要です。再生を検討する段階で、近隣への配慮も含め、依頼先の工務店と早めに相談しておくと計画を進めやすくなります。

越前市中津原町

中津原町では中古住宅の流通例があり、古い住まいを再生する選択肢があります。

越前市中津原町では、中古住宅の掲載例があります。農地や付属家屋を伴う物件も掲載されているため、庭や付属建物を含めた活用を検討する場合は、物件ごとの条件を確認するとよいでしょう。

中津原町には古い木造住宅の掲載例があり、付属家屋や農地を伴う物件もあります。母屋だけでなく付属建物も活用したい場合は、それぞれの状態や改修の可否を確認して計画することが重要です。

一方で、建築年が古い住宅は現行の耐震基準に適合していない可能性があります。購入や賃借を検討する際は、見た目の趣だけで判断せず、耐震診断や補強プランの有無を確認してください。越前市では昭和56年5月31日以前に着工された伝統的な古民家の耐震改修に対し、工事費の10分の8、上限190万円の補助制度が用意されています[出典2]。中津原町で古い住宅の再生を検討する場合も、対象要件を満たすか確認するとよいでしょう。

まとめ

越前市で古民家や町家を住まい・店舗として再生したいけれど、耐震性や断熱性、費用感がつかめず迷っている方に向けてまとめました。活用事例、耐震・断熱改修の進め方、補助制度、物件探しの手順を押さえれば、再生は決して遠い話ではありません。大切なのは、古さを不安材料のままにせず、診断や専門家への相談を通じて具体的な判断材料に変えていくことです。結論を急がず、空き家バンクへの問い合わせや専門家への相談から始めてみるだけでも、再生への道筋は見えてきます。

※掲載内容は執筆時点の情報です。最新情報は各自治体・関係機関の公式ホームページをご確認ください。

出典

  1. 福井県伝統的民家認定制度のご案内 - 越前市 — https://www.city.echizen.lg.jp/office/070/020/denmin/denminnintei.html
  2. 越前市伝統的古民家耐震改修促進事業補助金 - 越前市 — https://www.city.echizen.lg.jp/office/070/040/mokukaisyu/denminkaisyu.html
  3. 越前市伝統的民家普及促進事業に係る補助金について - 越前市 — https://www.city.echizen.lg.jp/office/070/020/denmin/denmin.html
  4. 越前市矢放町1-9 - ふくい空き家情報バンク — https://akiya.pref.fukui.lg.jp/webroot/public/estate/detail/24
  5. 住みたい!を応援します(住宅に関する補助制度) - 越前市 — http://www.city.echizen.lg.jp/office/070/040/teijyu/hojyo.html
  6. 空き家を探している方 - 越前市 — https://www.city.echizen.lg.jp/office/070/040/akiyakatsuyouneeds.html

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よくある質問

Q. 越前市で古民家・町家を探すにはどうすればいいですか。
A.

越前市独自の空き家情報バンク「越前市住まい情報バンク(おうちナビ)」に登録すると、購入・賃借希望の条件を建築住宅課へアンケートで提出でき、所有者とのマッチング機会が得られます。福井県が運営する「ふくい空き家情報バンク」には古民家専用の「古民家ナビ」もあり、あわせて探すと選択肢が広がります。いずれも市や県は交渉・契約の仲介自体は行わないため、気になる物件は掲載先の仲介業者へ直接問い合わせる流れになります。

Q. 古民家の耐震改修にはどのくらい費用がかかりますか。
A.

改修規模や用途によって幅が大きく、古民家1棟をカフェや宿泊施設など店舗向けに大規模改修すると数千万円単位になるケースもあります。一方で耐震補強のみに絞ればもう少し抑えられる場合もあり、事前に耐震診断と補強プランで概算費用を確認することが欠かせません。越前市には伝統的な古民家の耐震改修工事費を補助する制度もあるため、費用負担を抑えられる可能性があります。

Q. 越前市の古民家・町家再生で使える補助制度はありますか。
A.

越前市には、伝統的な古民家の耐震改修工事費を補助する「越前市伝統的古民家耐震改修促進事業補助金」があり、補助対象経費の10分の8(上限190万円)が補助されます。また伝統的民家群保存活用推進地区などでは、新築や外観改修、土蔵・門・塀の改修に対する「越前市伝統的民家普及促進事業」の補助もあります。耐震改修後は所得税の特別控除や固定資産税の減額措置を受けられる場合もあるため、あわせて確認すると負担を軽減しやすくなります。

Q. 「古民家」と呼べる建物にはどんな基準がありますか。
A.

一般社団法人全国古民家再生協会は、昭和25年の建築基準法制定より前に建てられた伝統構法の住宅を「古民家」と定義しています。一方で福井県の「古民家ナビ」では、1950年以前に建築されたもの、または終戦前の伝統的な意匠を基調として「福井の伝統的民家」に認定されたものを古民家としており、基準がやや異なります。物件を探すときはどちらの定義に基づく分類かを確認しておくと誤解を防げます。

Q. 古民家は寒いと聞きますが、断熱改修でどこまで改善できますか。
A.

古民家は太い柱や梁を見せる軸組構造が中心で気密性が低く、木製建具のままの物件も多いため、床・壁・窓まわりの断熱改修で体感が大きく変わります。実際に福井県内の伝統的民家では、窓を新設して壁に断熱材を入れるだけで、柱や梁などの構造躯体を残したまま寒さ対策を行った例もあります。費用を抑えたい場合は全面改修ではなく、こうした部分的な断熱強化から始める方法も選択肢になります。

監修者

川端 武志

川端 武志

株式会社川端工務店 代表取締役 / 一級建築士

福井県越前市を拠点に、土地探しから設計・施工・アフターまでワンストップで住まいづくりを手がける。地域の気候風土に合わせた、長く快適に暮らせる住宅設計を得意とする。

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