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空き家

越前市『おうちナビ』の使い方|空き家を売る・買う・登録する手順

文・設計部 監修・川端 武志
越前市『おうちナビ』の使い方|空き家を売る・買う・登録する手順

この記事のポイント

  • 空き家は全国899万戸、うち長期不在などの「その他空き家」は 386万戸に上る
  • 民泊・地域拠点・カフェ・サテライトオフィスなど活用法は多様で目的別に選べる
  • 国と自治体の補助制度を組み合わせれば初期費用を抑えて活用を始められる
  • 放置は税負担増や倒壊リスクにつながるため早めの意思決定が重要
  • おうちナビなど空き家バンクへの登録が具体的な行動の第一歩になる

空き家バンク「おうちナビ」という名前を耳にしても、実際の使い方や登録手順まで把握している方は少ないのではないでしょうか。全国で空き家は899万戸に達し、活用したいと考える所有者や自治体職員も増えています。本記事では空き家活用の現状から具体的な方法、成功事例、国・自治体の支援制度、リスクと注意点、そして相談窓口まで一気通貫で解説します。読み終える頃には、自分の空き家をどう動かせばよいか具体的な次の一歩が見えてくるはずです。


空き家活用の現状と社会的影響

空き家は年々増え続けており、放置せず早めに活用や相談を検討することが所有者にとって得策です。

空き家の増加とその背景

全国の空き家総数は約900万戸に達し、2018年の849万戸から51万戸増加しました。「その他空き家」も349万戸から386万戸へと約37万戸増え 、空き家全体の増加分の約7割をこの区分が占めています。背景にあるのは人口減少です。日本の人口は2008年頃をピークに減少に転じ、2023年以降は世帯数そのものも減っていく見込みとされています。一方で住宅ストック数は約6,240万戸あり、総世帯数の約5,400万世帯を大きく上回っている状態です。住宅を持つ人よりも住宅の数のほうが多い、いわば「住宅の椅子取りゲーム」が成立しなくなっているわけです。空き家の取得経緯を見ると相続が55%を占め、所有者の約3割は物件から離れた土地に住んでいます。実家を相続したものの遠方に住んでいて手が回らない、という方も多いのではないでしょうか。この「相続からの放置」という流れが、空き家増加の大きな一因になっています。

空き家がもたらす社会的課題

空き家が増えると、地域全体にじわじわと影響が及びます。「その他空き家」の全国平均率は5.6%ですが、高知県や鹿児島県、和歌山県などの一部の県では10%を超えており、地域による偏りが顕著です。空き家の内訳を見ると一戸建てが約7割を占め、腐朽・破損ありの物件は約101万戸にのぼります。実際、空き家所有者の58%が「傷みが進むのではないか」と心配しているという調査結果もあります。老朽化が進んだ空き家は倒壊や外壁の落下といった防災上のリスクだけでなく、不法侵入や放火など防犯面の不安も招きます。景観の悪化も見過ごせません。売却や賃貸を検討しても、買い手・借り手が見つかりにくいことや住宅自体の傷みが障壁となるケースが多く報告されています。こうした課題が積み重なることで、空き家は個人の資産という枠を超え、地域コミュニティ全体の防災力や暮らしやすさにも影を落とす存在になっているのです。

国と自治体の政策動向

こうした状況を受け、国と自治体は対策を強化してきました。空き家等対策の推進に関する特別措置法は2015年に施行され、その後も見直しが重ねられています。2023年12月には法改正が施行され、管理が不十分な「管理不全空家」については固定資産税の優遇措置が解除される仕組みが導入されました。自治体レベルでも動きは活発で、市区町村の82%がすでに空き家等の利活用に関する取り組みを実施しています。一方で、空き家に関する相談件数は2018年から2023年にかけて約2倍に増加した一方、「活用したい」という前向きな相談の割合は約30%から約14%へと低下しています。これは、相続や管理負担の相談が増える一方で、活用への意欲や具体的な道筋を描けずにいる所有者が多いことの表れとも読み取れます。空き家バンクへの登録や、自治体が提供する管理サービスの活用を早めに検討することが、この流れを変える第一歩になります。


空き家活用の具体的な方法

空き家は建物の状態と立地に合わせて、宿泊・地域拠点・商業・オフィスの4方向で活用方法を検討するのが近道です。

空き家を放置すべきではないと分かっても、実際にどう使えばよいのか迷う方は多いはずです。築年数や間取り、駅からの距離によって向いている活用方法は変わってきます。ここでは代表的な4つの方向性を、判断のポイントとあわせて見ていきましょう。

民泊や宿泊施設へのリノベーション

観光地や街道沿いの立地であれば、民泊や小規模な宿泊施設への転用は検討価値の高い選択肢です。古民家特有の梁や土壁を生かした改修は、外国人観光客や国内の旅行者からも人気を集めやすい傾向にあります。ただし民泊として運営するには住宅宿泊事業法に基づく届出や、旅館業法上の許可が必要になる場合があり、消防設備の設置基準を満たすための改修費がかさむこともあります。一般的な木造戸建てであれば、水回りの一新と客室の内装工事だけで数百万円規模の投資になるケースも珍しくありません。

投資回収の見通しが立たないまま着手すると、稼働率の低さに悩まされることになりかねません。地域の観光需要や近隣の宿泊単価を事前に調べ、自治体が実施する民泊関連の相談窓口を活用しながら計画を練ることをおすすめします。空き家の有効活用として宿泊業に踏み出す場合は、運営を外部の管理会社に委託する方法もあり、所有者自身が現地に住んでいなくても運営できる体制を組めるかどうかが、成否を分ける大きな要素になるといえます。

地域コミュニティ拠点としての活用

住宅街の中にある空き家は、宿泊施設よりも地域住民の交流拠点として使う道が現実的な場合があります。子育て世代が集まるコミュニティスペース、高齢者向けのサロン、地域の祭りや会合の準備場所など、用途は地域のニーズ次第で幅広く広がります。自治会や自治体が主体となって借り上げ、住民ボランティアが運営を担う形であれば、所有者の負担を抑えつつ空き家を生かせるでしょう。

こうした活用は収益を目的としないケースが多いため、改修費用を最小限に抑える工夫が求められます。畳の張り替えや簡易な清掃程度にとどめ、大規模なリフォームを避けて低コストで開放する事例も見られます。地域活性化を目的とする自治体職員の方にとっては、所有者との賃貸借契約の条件や、火災保険・修繕費の負担区分を明確にしておくことが、長く運営を続けるための実務上のポイントになります。空き家の活用を地域全体の資産として位置づける発想が、持続的な運営につながっていきます。

商業施設やカフェとしての活用

商店街や住宅街の一角にある空き家は、店舗やカフェへの転用によって新たな人の流れを生み出す可能性を持っています。古民家をそのまま生かした喫茶スペースや、地域の農産物を扱う小さな直売所など、建物の個性を強みにした商業活用は各地で見られる形です。飲食店として営業する場合は保健所の営業許可に加え、用途地域によっては建築基準法上の用途変更手続きが必要になる点に注意が必要です。

住宅として使われていた建物を店舗に変える際は、給排水設備や換気設備の追加工事が発生しやすく、想定より費用がかさむこともあります。開業前に自治体の商工担当窓口へ相談し、創業支援の補助制度が使えるかどうかを確認しておくと、初期投資の負担を抑えられる場合があります。空き家ビジネスとして収益化を目指すなら、周辺の人口動態や競合店の有無を調べ、無理のない事業計画を立てることが欠かせません。

サテライトオフィスやテレワーク拠点化

働き方の多様化に伴い、地方の空き家を企業のサテライトオフィスや個人のテレワーク拠点として活用する動きも広がっています。都市部のオフィスに比べて賃料負担が軽く、自然環境の中で働ける点が企業誘致の材料になっている自治体も少なくありません。改修の内容は比較的シンプルで、通信環境の整備と執務スペースの確保が中心になるため、宿泊施設や飲食店への転用に比べて初期費用を抑えやすいという特徴があります。

一方で、光回線の引き込みが未整備の地域では通信環境の整備そのものに時間とコストがかかることもあります。自治体によってはテレワーク拠点整備に対する補助制度を設けている場合があるため、事前に商工観光担当課へ問い合わせておくと計画が進めやすくなります。空き家の再利用という観点では、企業との定期借家契約を結ぶことで、所有者が管理の手間をかけずに安定した賃料収入を得られる仕組みを作れる点も、検討する価値のある選択肢です。


成功事例の紹介

空き家活用は、リノベーション費用をかけずとも、行政の仕組みを使って地域活性化につなげられます。

自治体の成功事例まとめ

空き家活用の方法を検討する段階では、実際にどこまで成果が出ているのかが気になるところではないでしょうか。全国の自治体では、空き家バンクを軸にした移住促進の取り組みが広がっており、成約実績を公表している自治体も少なくありません。空き家バンクとは、売りたい・貸したい所有者と、住みたい人をマッチングする自治体の登録制度です。栃木市では空き家バンクの成約率が約69.6%に達したという報告があり、岐阜県飛騨市でも累計299件の成約につながった事例が伝えられています。こうした数字は、単に登録件数を増やすだけでなく、地域の暮らしぶりや周辺環境の情報をあわせて発信し、移住希望者の不安を減らす工夫を重ねた結果とみられます。空き家バンクへの登録は、所有者にとって「売る・貸す」の選択肢を広げる第一歩であり、越前市の「おうちナビ」のような自治体窓口を通じて相談から始められる点も安心材料になるでしょう。

空き家活用というと、大掛かりなリノベーション費用を思い浮かべる方も多いはずです。ただ実際には、既存の建物や設備をほぼそのまま活かし、追加投資を抑えて再スタートを切る例も報告されています。たとえば古民家を地域の交流拠点として無償で貸し出し、運営は地域住民やNPOが担うことで、所有者側の初期費用負担をゼロに近づける仕組みです。修繕が必要な部分だけを最小限手直しし、残りは利用者側の自主管理に委ねる形も見られます。空き家の有効活用は、必ずしも大きな資金を投じることを意味しません。

地域活性化を目指した取り組み

地域活性化を目的とした空き家活用では、単発のリノベーション事例にとどまらず、継続的な仕組みづくりが重視されています。シェアオフィスや地域拠点としての活用は、地域ニーズに応じた形にすることが成功の分かれ目とされ、子育て世代の集いの場や高齢者の見守り拠点として再生されるケースもあります。自治体の82%が空き家等の利活用に関する取り組みをすでに実施しているというデータからも、空き家活用は一部の先進地域だけの話ではなく、全国的な流れになりつつあることがうかがえます。空き家バンクへの登録から始め、地域住民や自治体職員が伴走しながら用途を練り上げていく進め方は、地域活性化の再現性を高める現実的な手順といえるでしょう。


空き家活用を支える支援制度

支援制度は「国の補助金」「自治体独自の助成」「専門家相談」を組み合わせて使うのが近道です。

国の支援制度と補助金

空き家活用を後押しする国の枠組みは、ここ数年で範囲が広がっています。空家等対策の推進に関する特別措置法は2015年に施行され、その後も改正が重ねられてきました。2023年12月には、管理が不十分な空き家に対する税優遇の対象を解除する内容を含む改正が施行されています。裏を返せば、管理さえきちんとしていれば固定資産税の優遇は維持されるということです。放置ではなく「活用」を選ぶ後押しになっていると見てよいでしょう。

国土交通省の調査では、82%の市区町村がすでに空き家等の利活用に関する取り組みを実施しています。つまり多くの地域で、リフォーム費用の一部補助や解体費用の助成といった制度が用意されている可能性が高いのです。ただし補助額や対象条件は自治体ごとに設計されており、国が一律で金額を決めているわけではありません。「うちの地域には制度がないのでは」と諦める前に、まずは所有する空き家がある市区町村の空き家対策担当窓口に確認する価値があります。空き家ビジネスとして本格的に取り組む事業者向けの支援も一部自治体で用意されており、個人所有者とは異なる要件が設定されている場合があります。

自治体の取り組みと活用方法

自治体独自の取り組みの代表格が、空き家バンクへの登録です。売りたい・貸したい所有者と、買いたい・借りたい移住希望者をつなぐ仕組みで、越前市の「おうちナビ」もこの一種にあたります。空き家バンク登録は無料で行える自治体が多く、登録後に地域の不動産事業者や行政担当者が物件情報を確認し、希望者とのマッチングを進める流れが一般的です。

自治体によっては、空き家バンク登録済み物件を対象にリフォーム補助金や家財道具の処分費用助成を上乗せしているところもあります。例えば改修費の一部を補助する制度や、移住者向けの家賃補助を組み合わせている地域も見られます。金額や上限は自治体の予算規模によって差があるため、下記のような視点で情報を整理しておくと比較しやすくなります。

支援の種類

主な対象

確認すべきポイント

空き家バンク登録

売却・賃貸希望の空き家

登録費用の有無、掲載期間

リフォーム補助

改修を伴う活用

補助率、上限額、対象工事の範囲

解体費用助成

老朽化した空き家

危険度の判定基準、申請時期

移住者向け家賃補助

空き家バンク成約物件

居住年数の条件、併用可否

制度の内容は年度ごとに見直されることがあるため、時期によって条件が変わる場合がある点は念頭に置いておきましょう。

制度を効果的に利用するためのポイント

支援制度は「知っているかどうか」で活用の成否が分かれると言っても大げさではありません。まず押さえておきたいのは、補助金の多くが着工前の申請を前提としている点です。リフォーム工事を先に発注してしまうと、補助対象外になるケースが少なくありません。空き家の活用を検討し始めた段階で、早めに自治体の担当窓口へ相談する姿勢が結果的に近道になります。

もう一つの落とし穴は、制度の併用条件です。国の税制優遇と自治体の補助金を同時に使えるとは限らず、どちらか一方しか選べない場合もあります。申請書類も自治体ごとに書式が異なり、登記事項証明書や固定資産税の課税明細書といった添付資料が求められることが一般的です。準備に時間がかかることを見越して、余裕を持ったスケジュールを組んでおくと安心です。

空き家所有者の過半数が老朽化の進行を心配しているというデータもあります。制度を使えば費用負担を抑えながら早めに手を打てる可能性が高まりますので、迷っている方こそ一度窓口に相談してみてはいかがでしょうか。地域活性化に関心のある自治体職員の方にとっても、こうした支援策の周知を丁寧に行うことが、空き家バンク登録件数を増やす実務上のポイントになるはずです。


空き家活用におけるリスクと注意点

空き家は放置せず早めに活用方針を決め、税制・法律の基本を押さえてから動くことが失敗を防ぐ近道です。

放置することのリスク

支援制度を使って改修や登録の手続きを進める前に、まず考えておきたいのが「何もしない」ことのコストです。空き家は人が住まなくなった瞬間から劣化が進みます。換気がされない家屋は湿気がこもりやすく、木材の腐朽やシロアリ被害が急速に進行することが知られています。国の資料によると、長期間放置された「その他空き家」は全国で349万戸にのぼり、この20年で約1.9倍に増加しました。所有者自身も他人事ではなく、腐朽・破損の進行を心配している人は約6割にのぼるというデータもあります。

さらに見過ごせないのが税金の問題です。2023年12月には、管理が不十分な空き家に対して固定資産税の優遇措置を解除する法改正が施行されました。これまで住宅用地として最大6分の1に軽減されていた税額が、指導を受けても改善されない場合には通常の税率に戻る可能性があります。「そのうち何とかしよう」と先延ばしにした結果、数年後に固定資産税の通知を見て驚く、というケースは決して珍しくありません。空き家は資産であると同時に、放置すれば負債に転じる性質を持つ点を意識しておく必要があります。

活用方法選定時の注意点

民泊、カフェ、サテライトオフィスなど活用方法の選択肢が広がる一方で、選定の段階でつまずく所有者も多く見られます。よくある失敗は、建物の立地や構造を無視して、流行りの活用方法をそのまま当てはめてしまうことです。例えば、駅から徒歩30分以上かかる山間部の古民家を民泊にしようとしても、集客の見込みが立たず稼働率が伸び悩むことがあります。逆に、住宅街の中にある物件を商業施設として活用しようとすると、近隣住民との騒音トラブルや駐車場不足が問題化するケースも報告されています。

活用方法を決める前に、建物の耐震性や接道状況、用途地域の制限を確認しておくことが欠かせません。用途地域によっては、店舗や宿泊施設への転用そのものが認められない場合もあります。また、空き家所有者の約3割は遠隔地に居住しているというデータがあり、現地確認が不十分なまま計画を進めてしまうリスクも指摘されています。おうちナビのような空き家バンクへの登録を検討する際も、登録前に地域の需要や競合物件の有無を調べ、複数の活用モデルを比較検討したうえで自分の物件に合った方法を選ぶ姿勢が大切ではないでしょうか。

法律や税制の理解が必要な理由

空き家活用は「リノベーションして貸す」だけで完結する話ではありません。建築基準法、都市計画法、消防法など、用途変更や大規模改修に関わる法律が複数からんできます。例えば住宅を店舗や宿泊施設に転用する場合、建築確認申請や用途変更の届出が必要になることがあり、これを怠ると後から是正命令を受ける可能性もあります。民泊事業を始める場合は、旅館業法や住宅宿泊事業法に基づく届出が別途必要になる点にも注意が必要です。

税制面では、相続で取得した空き家を売却する際に使える特例や、賃貸に転用した場合の減価償却の扱いなど、所有者の状況によって適用できる制度が変わってきます。実際、空き家の取得経緯は相続が55%を占めており、相続登記や名義変更が済んでいないまま活用を検討してしまう例も少なくありません。名義が整理されていないと、金融機関からの融資や自治体の補助金申請でつまずくこともあります。法律や税制は改正のタイミングで内容が変わることもあるため、行政の窓口や専門家に事前相談し、最新の条件を確認したうえで計画を進めることをおすすめします。


空き家活用の次のステップ

空き家活用は「現状把握→目的整理→窓口相談→行動」の順で進めると迷いません。

具体的な行動計画の立て方

リスクや注意点を理解したところで、いよいよ次に必要なのは「動き出す順番」を決めることです。何から手をつければよいか分からず、結局そのままにしてしまう方が少なくありません。まず取り組みたいのは、空き家の現状を客観的に整理する作業です。築年数、耐震性、水回りの状態、接道状況、権利関係が単独所有か共有かといった点を一枚の紙にまとめるだけでも、次の判断材料になります。

その上で、活用の方向性を「貸す」「売る」「自分で使う」「解体して土地活用する」の4つに大まかに分類してみましょう。たとえば築40年の実家を相続したケースでは、リフォーム費用を抑えて古民家風の賃貸住宅にする道もあれば、老朽化が進みすぎている場合は解体して駐車場や資材置き場として空き地の活用を図る選択肢もあります。判断に迷うときは、複数の選択肢を並べて「初期費用」「想定収益」「管理の手間」の3軸で比較すると整理しやすくなります。

行動計画には期限も設けておくことをおすすめします。「3か月以内に自治体の空き家バンクへ登録する」「半年以内に解体業者3社から見積もりを取る」など、具体的な期日を書き込むと先延ばしを防げます。現地に頻繁に足を運べない場合こそ、計画表を作って優先順位を明確にしておくことが実務上の助けになります。

相談窓口や専門家の活用方法

行動計画を立てても、税制や建築規制の判断は個人だけでは難しい部分が残ります。ここで頼りになるのが、自治体の空き家相談窓口や専門家です。多くの市区町村では空き家対策の担当課が窓口を設けており、空き家バンクへの登録相談から補助制度の案内まで一括して対応してくれます。実際、空き家等対策の推進に関する特別措置法の施行以降、82%の市区町村が何らかの利活用支援に取り組んでいるとされ、相談体制は年々整いつつあります。まずは自宅がある自治体のホームページで「空き家 相談窓口」と検索し、担当窓口の連絡先を確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。

専門家の活用も欠かせません。売却を検討するなら宅地建物取引士、リノベーションを伴うなら建築士、相続や税金の問題が絡むなら司法書士や税理士へと、悩みの性質に応じて相談先を使い分けることが大切です。近年は空き家管理サービスを提供する民間企業も増えており、空き家専用の保険を自動で付帯するサービスが2024年1月から始まり、2024年4月時点で266の市区町村がこうしたサービスに対応しています。遠方に住んでいて定期的な見回りが難しい方には、こうした民間サービスの活用も選択肢の一つになるでしょう。

窓口は一つに絞る必要はありません。自治体と民間、それぞれの強みを組み合わせて相談することで、空き家活用の具体的な一歩を踏み出しやすくなります。


まとめ

この記事は、空き家を相続や所有で抱えて活用に迷っている個人の方、そして地域活性化のために空き家バンク運営や補助制度の設計に関わる自治体職員の方に特に役立つ内容です。空き家は放置すれば税負担や倒壊リスクが増す一方、民泊や地域拠点、支援制度の活用次第で地域の資産に変わります。まずは所有する空き家の状態と目的を整理し、自治体の相談窓口やおうちナビのような空き家バンクへの登録を検討してみてください。相続に関する手続きで迷う点があれば、専門家への問い合わせも早めに検討することをおすすめします。


※掲載内容は執筆時点の情報です。最新情報は各自治体・関係機関の公式ホームページをご確認ください。

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よくある質問

Q. 空き家の活用について、まず何から始めればよいですか?
A.

最初のステップは、自治体の空き家相談窓口や空き家バンクへの登録で、多くの場合無料で相談できます。空き家に関する相談件数は2018年から2023年にかけて約2倍に増加しており、専門家への相談は珍しいことではありません。所有する空き家の状態や希望する活用方法を整理したうえで、行政や専門家に具体的な選択肢を提示してもらうのが近道です。


Q. 空き家活用にはどんな支援制度や補助金がありますか?
A.

国の空き家対策関連の補助制度に加え、多くの自治体が独自の改修費補助やリフォーム助成を用意しています。全国の82%の市区町村が空き家等の利活用に関する取り組みを実施しているとされ、地域差はあるものの相談窓口は広がっています。制度の対象条件や申請時期は自治体ごとに異なるため、事前に窓口へ確認することが効率的な活用につながります。

Q. 空き家の活用方法にはどんな選択肢がありますか?
A.

民泊や宿泊施設へのリノベーション、地域コミュニティ拠点、カフェなどの商業施設、サテライトオフィスといった活用方法が代表例です。近隣地域のニーズと空き家の立地・広さを照らし合わせ、収益性や初期費用を比較しながら選ぶことが大切です。用途によって必要な許可や改修範囲も異なるため、記事内の用途別の解説を参考にしてください。

Q. 空き家はそのまま活用するのと解体するのは、どちらが良いのでしょうか?
A.

傷みの程度や立地、活用したい用途によって答えは変わり、一概にどちらが良いとは言えません。腐朽・破損がある空き家は全国で約101万戸にのぼるとされ、状態次第ではリノベーションより解体が現実的な場合もあります。まずは自治体の空き家バンクや専門家に相談し、費用対効果を比較したうえで判断することをおすすめします。

Q. 空き家を放置すると固定資産税の負担が最大6倍になるというのは本当ですか?
A.

住宅用地の特例が外れると、更地並みの課税となり負担が跳ね上がる場合があります。特に管理が不十分な空き家は税優遇の対象から除外される法改正が2023年12月に施行されており、注意が必要です。所有者の58%が腐朽・破損の進行を心配しているとの調査もあり、早めの活用や管理計画の検討が望まれます。

監修者

川端 武志

川端 武志

株式会社川端工務店 代表取締役 / 一級建築士

福井県越前市を拠点に、土地探しから設計・施工・アフターまでワンストップで住まいづくりを手がける。地域の気候風土に合わせた、長く快適に暮らせる住宅設計を得意とする。

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